パステルくんとエナメルさん

#12

正直、自分でなんだかわからなくなってきた。あと長い話書くときは、登場人物の見た目とか最初に確定しておかないと駄目だと悟った。まとめ http://d.hatena.ne.jp/blackwater/19990101 - 「確かに・・・」私は、驚きを顔に出さないように気をつけながら、そ…

#11

まとめ http://d.hatena.ne.jp/blackwater/19990101 - 「私に教わりたいから、だって?」 「そう」 「いったい、何を?」 「科学を、よ」 わずかな風が、エナメルの栗色の髪を揺らす。私は、特に意味もなかったが、じっとその揺れてはまた垂れる髪を見ていた…

#10

まとめ http://d.hatena.ne.jp/blackwater/19990101 - 「つまり、君は、たった3人しかいない、正規の魔女のうちの1人ってわけか」 「たったの1人の魔女よ。あとの2人は男だから」 エナメルは、そう訂正すると、話を止めた。私からの質問を待っている。そ…

#9

まとめページ http://d.hatena.ne.jp/blackwater/19990101 - それからおよそ24時間後、私は、エナメルと2人きりで私の部屋で話をしていた。私の部屋、と言っても自宅ではない。大学が構内に用意した簡素なオフィスのようなものだ。エナメルは、まるで何も…

#8

全力で走る私の視界では、エナメルのアパートのレンガの赤と茶が激しく揺れ、グラデーションを生み出していた。部屋への距離を縮めるにつれ、そのグラデーションは、うねりながら大きくなっていく。息が切れ、口の中に変な味が広がる。もう少し運動をしてお…

#7

それは私のような素人目から見ても分かるあからさまな攻勢の挙動だった。今、まさに殺し屋(らしき人物)を擁する組織は、エナメルの部屋へ踏み込み、彼女を殺害、もしくは拉致などするつもりなのだ。私は、あわてて携帯電話を手に取ると、エナメルへと発信…

#5

エナメル=レインドロップの住む部屋は、明らかに監視を前提に置いた造りになっていた。つまり、外からでは部屋の様子をのぞくことのできない間取りの部屋を、彼女は、わざわざ探して借りたらしいのだ。その用心が役に立っているのは言うまでもない。なんせ…

#4

「私をつけまわすなんて、一体、何を考えているんですか?」 窮地であったが、ここで後手に回ったら、永遠に彼女の謎を解くことはできないだろう。私は、何の根拠もないまま、そう確信して、質問に質問で返した。 「君こそ、一体何者なんだ?エナメル=レイ…

#3

一度、疑い始めさえすれば、あとは違和感をたどってさえいけば、それでよかった。やはり彼女が只者ではないのは明らかだった。彼女の生活は常識を完全に欠いている。それも「この国の」常識を。文字のつづり方が下手なのは、やはりエナメルがこの国の人間で…

#2

私が彼女と出会ったのは、通勤が憂鬱になり、転職さえ考えはじめた頃である。彼女、エナメル=レインドロップは、私の生徒として学習室にやってきた。このひとつ年下の女性を、私は、始め「何という頭の悪い生徒だろう」とさえ思った。彼女は、ハイスクールの…

#1

あなたは本物の魔女というものを見たことがあるだろうか? いんちきでも、偽者でも、モグリでもなく、きちんと正規の魔女免許を持った正真正銘の魔女を、である。今から、あなた方が読むことになるのは「魔女と出会う」という稀少で、不可思議な私の体験を、…