明治維新には多くの人間が現れ、消えていったが、維新前後の人間の中でこの花神の主人公、村田蔵六大村益次郎)ほど、私の共感を得た主人公はいない。農民階級の医者の家に生まれるも、蘭学を修めたことを原因に軍学の翻訳を行い、そのまま維新政府の軍総司令官になり、軍事の天才と言われた主人公。思想もなく、ただ機械のように目の前にやってきた仕事を片付け続けた技術屋。非常に不器用なひとである。*1
小説のもっとも大きな功績とは、不器用の愛すべき点を、創作という客観によって発掘したということかもしれない、と思った。
プライドの怪人 (幻冬舎文庫)

プライドの怪人 (幻冬舎文庫)

PRIDEとかにいた百瀬っつー人の自伝。まぁ、これが読んでみるとびっくりで、百瀬家の先祖にまでさかのぼった三代記になっておって、途中で挫折しました。PRIDEと関係あると思った私が悪かったです。まぁ、面白いのかもしれないので、そのうち読むかも。

*1:文庫「人斬り以蔵に収録されている「鬼謀の人」の方が大村益次郎の小説としては面白かったように思う