藤子F不二雄プロ「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」

テレビでもやってたけど漫画のほうです。Fの死後、Fプロが制作した大長編24作目。F死後のものは初めて読むけど、これドラえもんじゃねぇな。とはいえ、一般人なら別にわからない程度の差だと思う。絵柄とかパワーないけど、わりと似てるしね。
ジャンプ世代の僕は、そもそも大長編ドラえもんを、むちゃくちゃ面白いとは思ってないのですが、それでもだいたいどっかしら面白かったけどなぁ。まぁ、理由もなく面白くないとか言うのもなんなので検証してみました。

検証その1・ドラえもんの性格に違和感。
仕方ないんですけど、Fの天才的言語センスに追いついてないと思う。あとけっこう「ドラえもん、こんな奴だったか?」と思った。基本的になんか少年漫画っぽい。
検証その2・どこがすごいのかよくわからない。
Fの大長編は、どっかすごいんですよ。短編集でも見せている通り、ショートショート的なトリックを考えるのがすごいうまい。今回のワンニャン時空伝では「時空のねじれで赤ちゃんになってしまったイチが記憶を取り戻す」というのが、それにあたるシーンだと思うのですが、ピンとこなかった。なんでかと言うと、まず「時空のねじれで若返る」っていうのが意味わからなさすぎ。冒頭にジャイアンとかが若返るっていう伏線があるけど、そもそも普段のドラえもんとかで、そんなシーン見たことないから突拍子ないんですよ。プロローグの若返る描写とかも意味わからなかったし、「イチが記憶を取り戻す」っていうこと事体、なんか感動する出来事じゃなかった。「タイムふろしきが偶然かぶさって爆弾の時限装置が働かなくて助かった」とか「道具のうまい使い方をしたら未来から自分達がやってきて助かる」とかの方が感動は強いよね、やっぱり。ピンチじゃないもん、別に。ネコジャラとの対決の時の本当のピンチは「よくも」みたいな怒りの力で勝ってるからね。そりゃ少年ジャンプだ。ショートショート的トリックを作るために構成を複雑にして失敗するというのは、やばいと思う。そもそもFだったら1ページ目から犬人間出さないと思うよ、たぶん。出すかもしれないけどさ。
検証その3・話がドラえもん寄りになってきている。
のび太の○○」というタイトルが示す通り、わりとのび太が活躍するんですよね。だけど今回はイチとのび太のエピソードとドラえもんとシャミーのエピソードが2つあるので、どっちつかずになってる気がする。最後の別れのシーンとかシャミーほとんど出てこないし、ぞっこんのわりにドライだったな。