最近、つくづく自分という人間は大人になってしまったなぁ、と思います。ろくに仕事もせん童貞のうちに大人になってしまって、働く前から働くのが嫌になるし、もうきっと無我夢中な恋なんかできないんだろうと思うと悲しい限りです。情けない限りです。

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やはり徒党の中にいる以上、柔和でなくてはならないな、と思う。自分の知性がそう確信している。自分の知性はいつも、自分の心よりも一歩先に行ってくれるのでありがたい事だと思う。

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芥川龍之介「或る旧友へ送る手記」
http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/20_14619.html
僕はエムペドクレスの伝を読み、みづから神としたい欲望の如何に古いものかを感じた。僕の手記は意識してゐる限り、みづから神としないものである。いや、みづから大凡下の一人としてゐるものである。君はあの菩提樹の下に「エトナのエムペドクレス」を論じ合つた二十年前を覚えてゐるであらう。僕はあの時代にはみづから神にしたい一人だつた。