小説 町田康「河原のアバラ」(くっすん大黒収録)

いやー、良いね、これ。はっきり言って、今、現役の作家で、これだけ良いと思った人はいない。森鴎外太宰治ほど好きではないけど、夢野久作坂口安吾芥川龍之介ぐらいは好き。
マークスの山とか乙一西尾維新の小説とか面白いと思いますよ。だけれどね「好き」って言うのはためらってしまうんですよ。でも、町田康は、ためらいなく「好き」って言えますね。
綿矢りさは、芥川龍之介太宰治の苦悩がきちんと解っているとは思えないんすよ。太宰治の墓参りはしたけど、その向い側の森鴎外の墓は参ったっていう話も聞かないし、正直、綿矢りさ、信用ならない。そういう子に芥川賞あげちゃったんでしょ・・・。
まぁ、町田康芥川賞もらってるから、まぁ、それは良かったです。だけど、結局、綿矢りさにあげちゃう世の中なんでしょ・・・。
うーん、まぁ、町田康も、別にそこまで新しいことやってるとは思いませんけどね。文体はともかく、スタンスが決して新しいと思えない。僕は技術よりもスタンスを重視する(スタンスの方が人間性が問われるから)人なので、その辺は、あまり評価できない。とはいえ、戦後の無頼派に比べたら、彼なりの進化を遂げているので、そこは評価できる。戦後民主主義は人権を民に与えなかったから糞だと思いますが、まぁ、それなりに熟成されてきたんだな、と思います。
僕がエレカシが好きなのは、宮本浩次の文学好きから生まれた知性と教養が、すさまじい感情のエネルギーとからみあって、エレカシのパンク、ロックを完成させているところにあるのです。
そういう点ではパンク出身の小説家という町田康とは相性が良いんでしょうね。