ひさしぶりにヒマになったのでいろいろ更新したいと思っています。
クロミヒデアキというペンネームを使っていたのですが、本格的にこの名前で活動しはじめているので、とりあえずしばらくはこのデザインとタイトルに固定すると思います。
別にビダというハンドルネームも使うでしょうし、そう呼んでもらってもぜんぜんかまいませんので。

のぼうの城

のぼうの城

「今年のナンバーワン」という評価、オノナツメの表紙、というものにひかれて読んだ一冊。
忍城の攻防をめぐる戦国小説で、戦というものを現代的センスで爽やかに描き出していてよくまとまった傑作である。
という前提で個人的にあえてくさした感想をかくと「なんかちがうなあ」という一言に凝縮される。現代的センス、というのは要するにおっさんのモノサシで測った場合に使える言葉であって、2008年の大人たちには傑作かもしれんが、とてもじゃないが次世代の人間に通用するものじゃない。
わたしたちの世代は面白いものを浴びるように見てきたし、本当に面白くなければ評価しない。もっと若い世代の人間にはもっとそれが言えると思う。小説というものはもっと世代を超ええる何かを持っていてほしいし、それがない小説がナンバーワンっていうのはおかしい話。(もちろんその言葉はキャッチコピーにしかすぎない)
今、ビッグコミックスピリッツ花咲アキラが漫画化してるがはっきり言って期待できない。美味しんぼ自選集でラーメン戦争を選んだような漫画家がこの小説をおもしろくできるとは思えない。
テーマのひとつに「現代人と戦国人の価値観の違い」というものがあるが、その描写が青春ドラマのそれで、いまいち伝わらない。戦国人というのは現代人から見たら異常としか言い様のない価値観を持っているわけで、異常とういところをもっと表現してほしかった。
それこそオノナツメが漫画化したら面白かろうと思うが、それは原作の面白さと言えない。もともとオノナツメがハードボイルドを描ける作家であるからそう言えるわけである。現代において本当の意味でのハードボイルドの描ける漫画家はオノナツメ荒木飛呂彦ぐらいだろうと思う。この21世紀に堂々と「男の世界」という表現を使って世界を表現する作家は実に少ない。