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- 作者: 松本人志
- 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
- 発売日: 2005/06/23
- メディア: 単行本
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「童貞」は基本的にはドキュメンタリータッチで話が進んでいくが、途中、明らかに「作った」部分というのがいくつか出てきて違和感を感じた。
そもそもがゆるい映画だし、きちんとしたドキュメントではないのだが、バラエティではなく、映画である以上、ギリギリアウトの反則のように思う。
いわば「このぐらいまでは許して」っていうものを匂わせたやらせであるといえなくもない。
そういうものを一切拒絶しているのが松本人志であって、シネマ坊主において(「童貞」にではないが)「最低限のルールがある」「カメラがグルになって観客を騙そうとしているのはおかしい」という主張がされている。
実際、数年後、松本人志が作った大日本人は、フィクションでありながら偽ドキュメンタリーという形をとり、そのドキュメンタリー部分において異常なまでの「カメラのやらせ」を拒否し、ただリアリティを追求した(そのリアリティがむしろ批判の対象にさえなった) *1
結局、エンターテイメントとは「楽しませたもの勝ち」であって、どちらが正しいとは一概にはいえないが「作り」「仕込み」「やらせ」(他のジャンルの映画における「矛盾が生じる部分」と言ってもよい)というものは、映画において、私はルール違反だと思うが、じゃあ「童貞」がつまらないかというとそうでもない。
ただ「童貞。をプロデュース」上映後のイベントでの監督のトークにおいて「カメラがグルになって観客を騙そうとしているという行為に対しての後ろめたさ」のようなものを感じなかったように思うし、あの作品を撮って、そういう後ろめたさを持たない人が才能のある映画監督として評価されるというのは少しおかしいと、私は思う。 *2