告白

告白

町田康の小説としてはあんまり好きな方ではないんですが、これは町田康にとって大きな一冊。というのも実際の事件を元にして書かれた時代小説だからである。
時代小説とは何か、というとこれは結構難しい。実際にあった事件ならなおさらで、実際にあった事、実際に居た人物を描いていかないといけないわけですが、当然、創作というか嘘の部分が出てくる。その時に「事実とちょっとぐらい違ってしまうけども、いいじゃないか」という開き直りがないといけない。
つまり「事実を調べる」と「嘘だとわかっていて書く」という全く逆の2つの方向で同時に進んでいかないといけないわけで、そこに人それぞれの作風が出るわけですね。
それを踏まえた上で、この小説なんですが、めちゃくちゃです。どう考えても「そんなわけあるかい」という内容であって、事実を元にしていながら、全くもって大胆に創作されている。これはなかなか出来ないことでありまして、やはり町田さんは奇才というか、よくわからない人だなぁと思った。ちなみにハードカバー新品で買ったの初めてかもしれません、私。エンケンこと遠藤賢司のトリビュートアルバム。なかなかすごいメンツでエンケンの曲をやっていて中古で見つけたんですけどこれは掘り出しもんだったなぁ。